渋沢栄一
 渋沢栄一
 抄紙会社の開業式(紙の博物館提供)
 十条工場の作業風景(紙の博物館提供)
 東日本大震災の津波に襲われた日本製紙石巻工場=2011年3月11日、宮城県石巻市
 ゲル状にした日本製紙の新素材

 日本製紙は現在、国内2位の製紙会社だ。明治初期の1872年、大蔵省(現財務省)の官僚だった渋沢栄一が「国家社会のために製紙業をおこすべし」と三井財閥の前身である三井組などに勧めた。翌1873年に設立された製紙会社「抄紙会社」が起源だ。(共同通信=浜谷栄彦記者)

 英国人技師の指導で現在の東京都北区王子に工場を建設し1875年に操業を始めた。当時、紙の原料だった古着は都市部の方が調達しやすかったからだ。原料が木材に転換したのに伴い、工場は静岡県や北海道に移る。

 第1次世界大戦による好景気で製紙会社が乱立したが、1920年代の恐慌を機に集約が進む。1933年に大手3社が合併し誕生した「王子製紙」は...

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