厚労省前で生活保護費の全額補償を訴える人たち=17日、東京・霞が関
 厚労省前で生活保護費の全額補償を訴える人たち=17日、東京・霞が関
 生活保護訴訟を巡る経過

 2013年からの生活保護費の引き下げを巡り、最高裁判決で敗訴した政府が対応策を決めた。政治の意向によって揺らいだ「最後の安全網」は、訴訟の原告かどうかで補償の支給額に差が生じ、公平性に疑問符が付く。10年以上続いた被害回復への自治体の事務負担は重く、補償が一人一人に届かない恐れもある。

 ▽矛盾

 原告らが「司法は生きていた」と評価した最高裁判決から約5カ月。政府がようやく決めた方針は原告らの「全額補償」の願いを裏切った。

 6月の最高裁判決は、物価下落率(4・78%)を反映した「デフレ調整」が専門家の審議を経ておらず「判断の過程や手続きに過誤、欠落があった」として違法と断じた。だが厚生労働省は「...

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