集会で拉致問題解決を訴える横田拓也さん(中央)ら=4月、東京都文京区
集会で拉致問題解決を訴える横田拓也さん(中央)ら=4月、東京都文京区

 北朝鮮に拉致された柏崎市の蓮池薫さん(68)、佐渡市の曽我ひとみさん(67)らの家族の帰国につながった2004年の第2回日朝首脳会談から22日で22年となる。日朝首脳会談は途絶え、拉致被害者の帰国は実現していない。家族らは14、15の両日行われた米中首脳会談が米朝、日朝首脳会談につながることを期待していたが、目立った動きは見えない。家族が高齢化する中、関係者は再び日朝首脳会談が実現することを期待し「解決は今しかない」と訴える。

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 北朝鮮は02年の第1回首脳会談で拉致を認めて謝罪し、蓮池さんら5人が帰国した。04年5月の第2回会談で北朝鮮は安否不明の被害者の再調査を約束。蓮池さんらの子どもたちを日本に迎え、曽我さんはインドネシアで家族と再会した。

 一方、新潟市で拉致された横田めぐみさん=失踪当時(13)=ら被害者について北朝鮮は「8人死亡、2人未入国」と説明。北朝鮮が拉致問題の再調査を約束した14年のストックホルム合意後、調査は停滞している。

 「母は94歳。どんなふうに暮らしているのか」。母ミヨシさん=失踪当時(46)=と佐渡市で拉致されたひとみさんは、毎日のように母のことを考えている。ミヨシさんと再会できない状況に「一筋の光も見えない」と声を落とす。

インタビューに応じる曽我ひとみさん=佐渡市

 14年のストックホルム合意から12年。「多少なりとも何かがうまくいって、みんなが帰ってこられるのかなという思いがあった」というが、進展なく「ああ、やっぱり駄目なのかと落胆した」

 米中首脳会談を契機に、米朝、日朝首脳会談が実現することを期待したが、動きは見られず、「イラン情勢などに関心が向き、拉致問題が置き去りにされてしまわないか」と心配する。

 2年前から佐渡市の会計年度任用職員として働き、講演や署名活動に精力的に取り組んでいる。「時間がない。家族が生きている間に会えるのは今しかない」との思いからだ。ひとみさんは「多くの方に拉致問題のことを知ってほしいし、伝えていきたい」と力を込める。

◇    ◇

 めぐみさんの母早紀江さん(90)は、未帰国の政府認定拉致被害者の家族会メンバーで唯一の親世代となった。

 集会などで早期救出を訴えている家族会代表でめぐみさんの弟拓也さん(57)は、進展がないことについて「罪のない少女が拉致されているのに、助け出すことができない現状に失望を隠せない」と語る。

 拉致問題の解決に向け「日朝間で水面下の交渉が進んでいると信じたい」と願い、事態が動かない場合は「これまで以上の強い制裁発動ができる準備を整えてほしい」と政府に求める。

インタビューに応じる蓮池薫さん=柏崎市

 第2回日朝首脳会談後、子どもと再会を果たした蓮池さんは、北朝鮮が日本側にめぐみさんのものとして提供した遺骨が別人のものだったことについて「(北朝鮮は)最初からだまして誠実に調査する思いがなかった」と当時を振り返る。

 帰国から約24年。今も帰れない被害者、待ち続ける家族に思いを寄せ続ける。蓮池さんは「希望が見えない中でも必死に頑張っている、そのつらさを多くの人に知ってほしい」と家族の心情を代弁する。政府が動くまで世論を引き留めておくのが自身の役割だとし「(拉致問題が)忘れ去られないように努力していかねばならない」と語った。...