雪で道が狭くなり渋滞が発生した幹線道路=12月21日、長岡市
雪で道が狭くなり渋滞が発生した幹線道路=12月21日、長岡市
佐野可寸志教授

 記録的な大雪の影響で12月19〜21日、新潟県長岡市などを通る国道8、17号で大規模な立ち往生が発生した。今後も大雪が予想される中、大渋滞を回避するためのポイントは何か。冬期の交通対策について国の検討委員を務める長岡技術科学大学(長岡市)の佐野可寸志(かずし)教授(59)=交通工学=に聞いた。

 見附市と長岡市、小千谷市をつなぐ国道8号、17号では最大32・7キロの区間で断続的に立ち往生が発生。柏崎市の国道8号では約22キロにわたり最大約800台の車列ができ、それぞれ解消に長時間を要した。

 佐野教授は、今回の滞留は「道路管理者の除雪能力を超える降雪が続いたため」とみる。雪にはまって動けなくなる「スタック」状態の車が続出し、除雪車による効率的な除雪ができなかったことで長期化したと分析する。

 今回は関越道などで予防的な通行止めがなされた。高速道で渋滞が起きなかったことは評価しつつ、「高速道の通行止め期間と、国道で車両の滞留時間が長引いた点には改善の余地がある」と話す。

 再発防止に向け国や県、東日本高速道路(NEXCO東日本)には、スタックが多発する勾配区間への消雪パイプの増設や、カメラなどを使って問題発生地点を迅速に検知、対応することが必要だと唱える。除雪能力の向上を必須条件に挙げる一方、「数年に一度レベルの豪雪に対応できる能力を保持し続けるのは、経済的な観点からは難しい」とも語る。

 市民が行動を見直す必要もあるとする。スノータイヤやチェーンの使用はもちろん「不要不急の外出を控え、交通量を減らすべきだ」と強調。荷物の配達が遅れたり、予防的通行止めが結果的に空振りになったりした際に、「仕方ない」と受け止める寛容な姿勢も重要だと指摘している。