がんとの闘いは不安との闘いでもある。

 嫌な痛みがあったり、いいようもない倦怠(けんたい)感に襲われたりするたび、胸の奥に潜む疑念が頭をもたげる。

 がんが悪化したのではないか、来年の今ごろはもうこの世にいないのではないか-。

 一方で、日々不安の中で暮らしているからこそ、かすかな光が明るく見える。

 昨年9月20日、化学療法開始後初めてとなるコンピューター断層撮影(CT)検査の結果は、まさに闇に差し込む一筋の光だった。

 〈すい臓のがんがわずかに縮小しているといい、そのためすい臓のはれが引き、すい炎の症状が緩和されているようだという〉(9月20日の日記)。折しも、筆者を苦しめた異様な膨満感や食欲不振...

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