あのざらりとした感覚は、やはり戦争の一端に触れたからなのだろう。

 3月半ば、ポーランド南東のターミナル・プシェミシルの駅は、ウクライナから逃れてきた避難民でごった返していた。重いトランクを引きずる人々。無邪気な子どもの声が、母親の疲れをむしろ際立たせて見える。

 ここでは武器を手に取る人はいない。むしろ地元ボランティアたちがあれこれと世話を焼き、善意があふれていた。ところが、この場を支配する重たく、むごい感触は...

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