
「いま自分が伝えていることは、いずれ歴史の教科書に載る出来事に違いない」。そう考えるとき、事象を記録する報道の責任の重さに、身震いすることがある。
ニュースキャスターとしての経験から言うと、2011年の東日本大震災がそうだった。何度も衝撃を受けた。生放送の出演中に驚きの事実がもたらされ、緊張に包まれたこともあった。だが、映像を冷静に読み解き、的確に言語化することが自分の役割だと言い聞かせた。
ウクライナにロシアが全面侵攻した3年前のことも忘れられない。侵攻から間もなく、私は隣国ポーランドに出張取材した。国境の駅で見たのは、疲れ切った避難民がホームにあふれる様子だった。この切ない光景も、...
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