「私は奈良の女です」と、インパクト満点の演説で自民党総裁に上り詰めた高市早苗氏の主舞台は、言うまでもなく東京・永田町である。ただこの人の場合、政策資料に埋もれ、永田町に近い赤坂の議員宿舎にこもることも多いという。周囲が、「ひとりで仕事を抱え込み過ぎだ」と心配するほどだ。

 そのせいで視野狭窄(きょうさく)に陥ったのか、それとも前の石破執行部が適切な引き継ぎを怠ったのか、高市氏は友党である公明党の出方を見誤った。連立政権からの離脱である。自民党の政治とカネの問題は、後戻りできないほどに両党の関係を損ねてしまっていたのである。

 このコラムが紙面に載る頃には、間近に迫った国会での首相指名選挙に向けて、...

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