
新潟県の花角英世知事は12月25日、2024年最後の定例記者会見で2024年を振り返った。印象に残っていることとして(1)能登半島地震2024年1月1日午後4時10分ごろに発生した石川県能登地方を震源とする地震。逆断層型で、マグニチュード(M)7.6と推定される。石川県輪島市と志賀町で震度7を記録し、北海道から九州にかけて揺れを観測した。気象庁は大津波警報を発表し、沿岸部に津波が襲来した。火災が相次ぎ、輪島市では市街地が広範囲で延焼した。(2)「佐渡島(さど)の金山「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」の二つの鉱山遺跡で構成。17世紀には世界最大級の金の産出量を誇った。金の採取から精錬までを手工業で行っていた時代の遺構が残っているのは、世界的に例が少ないとされる。」の世界文化遺産登録をはじめとした明るい話題(3)少子化に伴う人口減少-を挙げた。その上で「若い世代、特に若い女性に選ばれる新潟づくり、魅力ある職場づくりに一段と力を入れて取り組みたい」と来年の抱負を語った。
能登半島地震に関し、花角知事は「1月1日の衝撃的な地震からスタートした1年」と指摘した。18年の知事就任時から「防災減災対策が県政の一丁目一番地。県民の生命財産を守ることが一番と伝えてきたが、それを改めて実感した」と振り返った。
花角知事は「災害の教訓を後世に伝え、一人一人の防災意識をさらに後押ししたい」とも強調。県が設置した有識者の検討会で対応を考えている、津波避難や避難所の環境整備などの問題は「来年度以降しっかり実施に移したい」とした。
明るい話題としては(1)7月の世界文化遺産登録(2)1月の新潟空港を拠点とする航空会社トキエア就航(3)8月の県のアンテナショップ「銀座・新潟情報館 THE NIIGATA(ザ・ニイガタ)」の開業-を選んだ。
花角知事は「来年以降、新潟の魅力、存在感をもっと情報発信する中で交流人口を拡大し、地域経済の活性化を目指したい」と決意を述べた。
少子化を巡っては、県立高校の再編・統合問題や医療問題に触れ、「高校教育ができないくらいになっていく。病院の経営問題も人口減少に関わる。(少子化による)社会への影響を実感せざるを得なかったという1年だった」と話した。

一方、25年度の与党税制改正大綱で、所得税が生じる「年収103万円の壁」の引き上げが決まった。懸念されていた地方財政の税収減に関し、花角知事は「給与所得控除の最低補償額を55万円から65万円に引き上げることで、県民税だけで5億円ぐらい(の減収)、市町村民税も合わせると14億円ぐらいの影響」との試算を明らかにした。
その上で「国の対応がまだ分からない。もう少し状況を見ていく必要がある」との考えを示した。
◆トキエアの成田発着枠確保に期待感
新潟空港を拠点とする航空会社トキエア(新潟市東区)が...