新潟県が県立幼稚園(新潟市東区)を2023年度末に閉園する方針を固めたことが4日、分かった。同園はかつて県立新潟女子短大(現県立大)の附属施設として幼児教育の研究や実習の場として活用されたが、近年ではその役割が薄らぐなど、県直営の意義が低下していた。文部科学省などによると、都道府県が運営する幼稚園は現在本県にしかなく、同園の閉園で県立幼稚園が全国から姿を消すことになる。
同園は県立新潟女子短大の附属幼稚園として1971年に設置。同短大が2009年に4年制の県立大に移行したのに合わせ、同大は地方独立行政法人化された。その際、附属幼稚園は大学から切り離され、県立として運営を続けてきた。
県によると、組織変更をきっかけに、大学による研究や幼稚園教諭を目指す学生の実習が行われる機会が減っていったという。
現在の園児数は定員96人に対し60人。近隣住民が大半で、近年は少子化もあり定員割れとなっていた。
また、幼稚園の運営主体が市区町村の場合は国からの交付税措置があるが、県には同様の措置がないため、財政的にも不利な状況になっていた。
県はこうした状況を受け、県直営で続けることが難しいと判断。危機的な県財政の状況を受けた行財政改革の取り組みの一環として、閉園を決めた。
園児の募集停止時期は未定という。県は保護者や関係者に対して閉園に向けた説明を始めている。
県や文科省によると、都道府県直営の幼稚園は以前は全国に複数箇所あったが、16年度末に長野県短期大学附属幼稚園が閉園し、本県だけとなっていた。