
観光客でにぎわう草津温泉街=群馬県草津町
全国の温泉で源泉水位の低下が深刻化している。インバウンド(訪日客)増加でくみ上げ量が増えたことなども原因とみられ、湯を十分確保できなくなって廃業する温泉施設も出ている。地元自治体が源泉の新規掘削を制限したり、業界に「節湯」を促したりしているが、抜本策はなく、関係者は苦慮している。
「水位は下がるも源泉は維持できている」。1月24日、佐賀県・嬉野温泉の水位低下を踏まえて開いた緊急会見で村上大祐嬉野市長は強調したが、昨年、源泉の平均水位は40・8メートルと過去最低を記録している。
県は、西九州新幹線開業に伴う観光客増で、湯の使用量も増えたことが主な原因と分析し、温泉地全体で1日当たりのくみ上げ量を目標の2800トンに抑えるよう旅館などに要請。昨年比1割減を目指し、旅館は深夜帯の客室内風呂の利用自粛要請など対策を講じ、徐々に水位が回復してきているという。
敷地内に源泉がある旅館「大正屋」副社長で、旅館組合の山口剛理事長は「客はかなり増えているが、県が要請するほど水位が低下していたことには驚いた」と話す。
水位低下は各地で起きている。...
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