
今月から粟島浦村の総務課長を務める小林英三さん(右)=4月14日、粟島浦村役場
職員の人材不足を課題としてきた粟島浦村に2025年度、他の自治体で勤務経験がある職員5人が入庁した。県と新発田市のOBがそれぞれ総務、産業振興課長に、ほか3人は係長などに就いた。県内自治体からの職員派遣の支援が24年度いっぱいで終了したが、職務をカバーできるめどが付いた格好だ。
「経験のある人が来てくれて安心している」。新体制について語る脇川善行村長は表情を緩めた。「2年の職員派遣に加え、経験者が入り(村政運営の)基礎ができた」と感謝する。
22年秋、家庭の事情などにより離職が相次いだ。一般事務職員は当時の定員17人に対して10人となり、村は県や市町村に支援を要請。23、24年度と一部は入れ替わりながらもそれぞれ5人が派遣され、県職員が総務課長職に就いた。22年秋当時、3年以上の勤務は2人で、経験の浅い職員が多かった。
24年度の1年間、県から派遣された儀同政宏・前総務課長は「(支援を受けた)2カ年で組織として職務に当たる雰囲気ができてきた」と振り返る。
一方、村は24年度末での派遣終了を見越し、昨年秋に自治体での管理職経験のある人材を対象に任期2年の係長、課長職を募った。
4月からは県議会事務局で課長経験がある小林英三さん(63)が総務課長、新発田市元水道局長の倉島隆夫さん(63)が産業振興課長を務めている。
小林さんは「行政での経験を役場の同僚に還元し、村のために一緒に頑張っていきたい。私自身、離島の人たちが求めることを学べる機会になる」と意欲を語る。
派遣職員の多くは1年での交代だった。新採用の職員も期限付きだが、脇川村長は「確実に次のステップに進んだ」と前向きに捉える。将来的には、若手の育成や登用など行政組織づくりと並行して人口減対策に本腰を入れたい考えだ。...
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