
20日投開票の参院選も終盤戦。新潟県では東京電力柏崎刈羽原発柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は主に関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に、6号機は2025年に全ての審査に「合格」した。7号機は2024年6月に技術的には再稼働できる状況が整った。の再稼働東京電力福島第1原発事故を受け、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。を巡る議論が続くが、候補者らの原発を巡る論戦は盛り上がりに欠ける。「もし事故が起きれば、風評で全て失う」。原発からの距離とは関わりなく、なりわいへの影響に思いを巡らせながら再稼働問題を見つめる人たちは多い。望むのは、事故の可能性を踏まえた議論が深まることだ。
柏崎刈羽原発から約65キロ離れた糸魚川市の能生漁港。今月上旬、うだるような暑さの午後、港に続々と船が戻ってきた。「なぎ続きで全然だめ。今日はもうやめだ」。船上で漁網を修繕していた磯谷光一さん(67)は苦笑交じりに汗を拭った。
磯谷さんは上越漁業協同組合の組合長でもあり、再稼働問題への関心は高い。「再稼働に反対はしないが最大限、安全対策を施していることが条件。全面的な賛成ではない」と明かす。
海を相手にする漁業者にとって、死活問題となるのが原発事故だ。磯谷さんは2011年の東電福島第1原発事故2011年3月11日に発生した東日本大震災の地震と津波で、東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の6基のうち1~5号機で全交流電源が喪失し、1~3号機で炉心溶融(メルトダウン)が起きた。1、3、4号機は水素爆発し、大量の放射性物質が放出された。後、処理水の海洋放出の影響を今なお受ける福島の漁師仲間の苦悩を直接聞いてきた。
風評被害は...