機織りの仕事を担う髙橋八智代さん=南魚沼市塩沢
機織りの仕事を担う髙橋八智代さん=南魚沼市塩沢

 県内には人々の暮らしや地場の産業を支えるあまたの職人がいる。連綿と受け継がれた技術を次代につなごうと、日々工夫を凝らしながら、奮闘を続けている。今に息づく伝統工芸などの担い手を紹介する。

 「トントン」。機を織る音が響く。南魚沼市塩沢の酒井織物で機を織る「織子(おりこ)」として働く伝統工芸士の髙橋八智代さん(42)=南魚沼市=は「織る時は自分の気持ちを平たんにして、反物に向き合う」と、呼吸を整えて機を動かした。

 塩沢織物は、横糸と縦糸の柄を合わせた「かすり」模様が特徴だ。越後上布、本塩沢、塩沢紬(つむぎ)、夏塩沢に4分類される。越後上布は麻で作られ、国重要無形文化財、ユネスコの無形文化遺産となっている。本塩沢、塩沢紬、夏塩沢は絹から作る。本塩沢は「シボ」と呼ばれる独特な凹凸を持つ。

 髙橋さんは...

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