熱した鋼材をスプリングハンマーでたたき、形を整えていく水野克彦さん。伝統工芸士である父・勲さんが後ろから見つめる=三条市荻堀
熱した鋼材をスプリングハンマーでたたき、形を整えていく水野克彦さん。伝統工芸士である父・勲さんが後ろから見つめる=三条市荻堀

 県内には人々の暮らしや地場の産業を支えるあまたの職人がいる。連綿と受け継がれた技術を次代につなごうと、日々工夫を凝らしながら、奮闘を続けている。今に息づく伝統工芸などの担い手を紹介する。

 金属の壁で囲った火床(ほど)にコークスをくべて火の勢いを保ち、板状の鋼材を差し込む。約900度まで熱してオレンジ色に輝けば頃合いだ。間髪入れずに工具でつかむ。

 三条市で3代続く鍛冶職人の水野克彦さん(52)は続いて鍛造に取りかかった。モーターで力強く上下運動するスプリングハンマーに鋼材を差し出し、熱いうちにたたいて変形させる作業だ。ダンダンダンと打撃音が響く。「力を均一に伝えられなければ、材料の断面は平行四...

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