映画「国宝」より
 映画「国宝」より
 東京国際映画祭の対談企画に登壇した山田洋次監督(左)と李相日監督=10月、東京都千代田区

 歌舞伎界を描いた映画「国宝」の興行収入が173億7千万円に達し、邦画実写作の歴代興収1位を塗り替える22年ぶりの快挙となった。巨匠は賛辞を贈り、識者は「邦画界の背中を押す成功例」と希望を見いだす。

 ▽余白を委ねる

 「2人の男の間に、芸と血筋という不条理があって、互いに苦しむ。この劇的な構造が非常に優れているし、そんな難しいことをきちんと表現していて驚きましたね」

 「国宝」の李相日監督を称賛したのは「男はつらいよ」シリーズで知られる山田洋次監督だ。東京国際映画祭で10月、2人が対談し、会場の映画ファンを沸かせた。

 歌舞伎の名家に引き取られた主人公(吉沢亮さん)が芸を極める物語。家の血筋を引く御...

残り846文字(全文:1146文字)