刈り取り後、秋起こしも終えた田んぼ=福井市、11月21日
 刈り取り後、秋起こしも終えた田んぼ=福井市、11月21日
 収穫されたコメ=8月、新潟県三条市
 元農水事務次官・奥原正明さん

 2018年に行政によるコメの生産数量目標の配分は廃止されたが、その後も、国は主食用の需給見通しを作り、3千億円の転作補助金も続いている。ぎりぎりの需給調整をしていれば、ちょっとしたことで供給不足に陥る可能性がある。人口減少や高齢化で需要が減っていけば今の政策では生産は先細り、日本の稲作はジリ貧だ。

 食料安全保障は国内のコメ生産や小麦の輸入が大きく減少するときにどう備えるかという、最後は穀物の問題になる。日本にとって最も重要な穀物はコメだ。麦と異なり気象条件に合っているし、単位面積当たりの収量が多い。生産技術が確立していて連作障害もない。大事にしなければならない稲作だからこそ過保護にするのでな...

残り1059文字(全文:1359文字)