
自費出版した作品集を手に語る古俣キヨさん=新潟市中央区万代3
白杖(はくじょう)にレコーダー、音声ワープロ…。新潟市中央区の主婦古俣キヨさん(83)にとって、どれも欠かせない道具だ。先天性弱視のハンディを抱えながら約40年、詩などの創作を続けてきた。「生まれつき目が悪いけれど、字を忘れたくない。書くことで自分を保ってこられたんです」と朗らかに語る。
東京生まれ。空襲から逃れるため、幼くして疎開し、柏崎市や上越市などを転々とした。本が好きで、視力が低くても何とか読んでいた子ども時代だったという。
高田盲学校を卒業後、マッサージの資格を取得して18歳で上京した。住み込みで働き、朝5時に起きては日付が変わってようやく休む生活。薄暗い部屋で毎晩、誰にも言えない不満を「愚痴日記」に書き連ねた。書きためた日記は、その後も長らく母が大事に保管してくれた。
文芸との接点が生まれたのは、結婚を機に新潟市に移り住んでから。...
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