「水と土の芸術祭」の出品作品からカビが発生したことを報じた新潟日報の記事(2009年8月1日)
「水と土の芸術祭」の出品作品からカビが発生したことを報じた新潟日報の記事(2009年8月1日)

 平たんではなかった新潟市美術館の40年の歩みを振り返り、地方の公立美術館が直面する課題と今後の展望を探る。(3回続きの2)

<上>ピカソなど海外の名作集め隆盛も…予算減少で薄れる話題性

 2009年7月、新潟市美術館にとって大きな転機となる事故が発生した。いわゆる「カビクモ問題」だ。発端となったのは新潟市で初めて開かれた現代アートのイベント「水と土の芸術祭」だった。

 会場の一つである市美術館に持ち込まれた土の作品からカビが発生。さらに翌年2月にも展示室でクモや虫が発生した。これを受け、文化庁が2カ月後に予定していた展覧会で国宝などの展示を認めない事態に発展した。

 「カビクモは観光集客に急ハンドルを切る中で起きた」。当時を知る...

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