犠牲となった7人の名前が並ぶ「熊害慰霊碑」=北海道苫前町
 犠牲となった7人の名前が並ぶ「熊害慰霊碑」=北海道苫前町
 北海道苫前町の事件現場、留萌市、増毛町
 「三毛別ヒグマ事件」を目撃した明景力蔵さんの手紙
 「三毛別ヒグマ事件」を目撃した明景力蔵さんの手紙
 北海道苫前町猟友会の林豊行会長。右の画面は同町で確認された巨大なヒグマの映像=北海道苫前町(本人提供)
 作家吉村昭さんの小説「羆嵐」新潮文庫
 「三毛別ヒグマ事件」の現場復元地=北海道苫前町
 郷土資料館にある「三毛別ヒグマ事件」の展示=北海道苫前町
 苫前町くま獅子保存会会長の花井秀昭さん=北海道苫前町
 ドローンに搭載された赤外線カメラで撮影された茂み。熱を感知した部分(矢印)は周囲と色が異なる(上)。同じ場所でズームカメラに切り替え、ヒグマの撮影に成功した(下)=10月17日、北海道増毛町(興北建設提供)
 ドローンに搭載された赤外線カメラで撮影された茂み。熱を感知した部分(矢印)は周囲と色が異なる=10月17日、北海道増毛町(興北建設提供)
 測量用ドローン(手前)によるヒグマ捜索について話す興北建設の原田欣典社長=北海道留萌市

 北海道苫前村三毛別(現苫前町三渓)の開拓地で起きた「三毛別ヒグマ事件」から今月で110年となる。胎児を含め7人が犠牲になり、3人が重傷(後に1人が後遺症で死亡)を負った国内最悪の「熊害」。町の郷土資料館に保存される生存者の手紙は、襲撃の悲惨さを克明に伝える。

 〈五十年経過の今日も尚消さんとして消す事の出来ない記憶は生々しきものです〉

 手紙は、事件当時少年だった故明景力蔵さんが、事件を調査して書籍「慟哭の谷」にまとめた故木村盛武さんに宛てたもの。細かい字でびっしりとつづった。

 最初の現場は「太田家」。1915年12月9日、預かっていた少年が喉をえぐられ、側頭部に親指大の穴が開いた状態で死亡して...

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