インテリジェンス―。情報や諜報(ちょうほう)を意味するこの言葉への関心が高まっている。政府は安全保障上の問題に対応するため、インテリジェンス(情報活動)機能の強化を進める方針だ。ただ、インテリジェンスと言われても、具体的な内容を思い浮かべるのは難しい。ともすれば、映画やドラマに登場するスパイのようなダークな存在をイメージしがちだが、現実はどうなのだろう。

 日本のインテリジェンス機関の一つ、公安調査庁(公安庁)は「情報の力で、国民を守る」をモットーとする。公安庁の地方拠点である新潟公安調査事務所の吉田明弘所長は語る。「我々は喝采を浴びるヒーローじゃなくていい」。平和は表舞台だけでつくられているのではない。フィクションの世界とは異なる、リアルなインテリジェンスの裏側に目を凝らす。

<公安調査庁>法務省の外局として1952年に設置された行政機関。テロ組織など政治的な主張を暴力で実現しようとする恐れのある団体などを調査し、必要があると判断した場合、公安審査委員会に対して、団体規制に関する処分の請求を行う。同委員会によって、処分が決定された場合には、団体の施設に対して立ち入り検査などを実施できるようになる。地方支分部局として、全国8カ所(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州)に公安調査局、14カ所(釧路、盛岡、新潟、長野、金沢、千葉、さいたま、横浜、静岡、京都、神戸、岡山、熊本、那覇)に公安調査事務所がある。同庁によると、職員数は約1800人。

◆2本柱の一つ「調査」重視されるのは…

 公安庁の任務は、大きく二つの柱で成り立っている。まずは新潟公安調査事務所などの現場が担う「調査」だ。その根幹は「ヒューミント(ヒューマン・インテリジェンス)」と呼ばれる人的情報収集活動にある。

新潟公安調査事務所が入る新潟地方法務総合庁舎=新潟市中央区

 調査官は、国の安全に関わる情報を持っていそうな協力者に接触して情報を入手する。ヒューミントにおいて、最も重要視されるのが...

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