女子サッカーのアルビレックス新潟レディースは、3月28日にデンカビッグスワンで行われるWEリーグ第17節長野戦を「1万人プロジェクト」と銘打ち、クラブ最大級の集客に挑む。昨秋の同プロジェクトでは目標に届かなかった経緯があり、今回はその「リベンジ」を懸けた一戦だ。多くの来場者と共に勝利を分かち合い、試合後には選手と来場者全員とのハイタッチを交わす―。スタジアムが一体となる「最高の景色」を目指し、PR活動を展開する。

 1万人プロジェクトでは、スタジアムに来る楽しさや選手との距離の近さを体感してもらおうと、試合終了後に来場者全員と選手とのハイタッチを企画する。大勢の来場者と共に最高の景色をつくりあげようと、クラブは無料で観戦できる招待企画を実施。試合当日、学生証持参の学生を対象に観戦チケットをプレゼントするほか、J2アルビレックス新潟とオイシックス新潟アルビレックスBCの3月のホームゲーム来場者、シーズンパス・シーズンシートオーナーカードの所有者も、試合のチケットやパスを提示すれば無料で観戦できる。

 来場者へ先着順でバスソルトやハッピーターンなどのプレゼントを用意しているのに加え、試合前にはNGT48によるパフォーマンスなどのイベントも多数予定されている。

試合後、サポーターとハイタッチを交わす新潟Lの選手たち=2024年3月、新潟市陸上競技場

 新潟Lの今季ホーム(リーグ戦)の来場者数は、ここまで1試合平均で2169人。そこから考えると、目標とする1万人がいかに高い山であるかがうかがえる。ちなみに1万人プロジェクトは、昨年10月にも実施しており、その際の来場者は7311人だった。残念ながら目標に届かなかっただけに、今回はそのリベンジとなる。

 このプロジェクトの成功に向け、クラブ主体の広報活動はもちろん、選手個人による積極的なPRも熱を帯びている。中でも特筆すべきは、主将の川澄奈穂美選手の神出鬼没な活躍だ。SNS上で自らを「ウザ美」と称し、新潟Lに関連する投稿を見かけては、誰彼構わず軽快なフットワークでコメントを送り届ける。泥臭くも愛のある交流が、プロジェクトの機運を醸成している。

 SNS上での活動について、川澄選手は「このクラブが新潟の皆さんにもっともっと愛してもらうためには、新たなサポーターの方々の力は絶対に必要。きっかけは何でもいいんです。私のSNSで、1人でもスタジアムに来てくれる人がいればありがたいし、うれしい。自分のできることをやっていきたいなって思っています」と言い切る。

川澄選手がSNS上で返したコメント

 リーグ戦は、この長野戦が2026年最初のホームゲーム。そのリーグ戦は現在5位と、目標とするタイトルをつかむには厳しい状況にある。それでもチームの主将は「タイトルは崖っぷちかもしれないけど、『昨シーズンの自分たちを超えていく』ところは絶対にやり続けなければいけない。残り6試合、全てに勝てれば、昨季の自分たちの勝ち点を超えられる。勝負の世界はそんなに甘くはないけど、そこを目指さないと何も残らない」と強調する。

 多くのサポーターの力を借り、リーグ終盤へ自分たちの覚悟を示すこの一戦。初めて見に来るサポーターも多数見込まれる中、ピッチでどんな姿を見せるのか。「分かりやすく、勝てば楽しくなる。ゴール前の攻防や、得点の瞬間にみんなで『ワーッ』ってなる瞬間、そんな場面をみんなで共有できたらなと思います」と主将は力を込めた。

◆プロと至近距離!選手が練習の合間に「地域へ出る」理由

 女子サッカーの普及に向けた情熱は、新潟Lの日常に深く根付いている。昨季、クラブが実施したサッカー教室や学校訪問などの普及活動は約100件にのぼり、そのほぼ全てに選手が参加した。

 シーズン中の約40週間で換算すると、週に2・5回ペース。選手たちは日々のハードなトレーニングの傍ら、自ら地域へ足を運び続けている。一人でも多くの人に女子サッカーの魅力を知ってほしい―。その一心で、彼女たちは競技の裾野を広げ、新たなファンを増やすためのピッチ外での活動に全力で取り組んでいる。

 普及活動の代表例の一つが、サッカー初心者の女性を対象とした「やさしいサッカー教室」だ。...

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