
2022年、アルビレックス新潟はJ2リーグの頂点に立ちました。チームは今季の活動を終え、新たな体制への動きも始まっています。来季戦うJ1へ思いをはせる前に、試合データからチームを分析し、いま一度今季を振り返る連載「2022解体新書」を掲載します。(5回続きの2回目)
× ×
2022年シーズンに優勝したアルビレックス新潟は、リーグ最多の73得点を挙げただけでなく、リーグ最少タイの35失点だった。「矛」だけでなく、「盾」も最強だった。データで秘密を探る。
新潟の得失点差は38と、リーグで断トツだった。同じく昇格を決めた横浜FCの17と比べると、新潟は矛と盾、つまり攻守のバランスが良かったことが際立つ。

新潟の失点数は昨季から5減った。被シュートの総数は306本で、昨季の285本よりも増えている。1試合平均にすると今季は7・28本だったのに対し、昨季は6・78本。0・5本多く打たれたことになる。
ただ、これらは決してネガティブな要素ではない。
昨季のゲームを思い浮かべると、リスク管理のため攻撃に割く人数が制限された試合があった。しかし今季は、松橋力蔵監督が「GKがアシストしてもいい」と言うほど、後ろの選手も好機があればゴールに絡んでいく意識が強かった。
「常にボールを持っているチームなので、失う回数はたくさんある。ただ、その瞬間に休むのではなく、切り替えてボールを奪い返す」
松橋監督は前線からのプレスが最少失点タイとなった大きな要因だと語る。

ボールを失った直後の「即時奪回」を狙うのは、攻撃的なチームの世界的な潮流だ。リスクを冒してもゴールを狙う姿勢が、昨季よりも被シュート数が増えた一因だろう。その上で失点が減ったのは、全試合フル出場したGK小島亨介の安定したプレーや、守備時のインテンシティー(強度)の高さによるところが大きい。
ちなみに同じく35失点の徳島は、被シュート数が323本。1試合平均で新潟よりも0・41本多い。新潟は昨季より増えたが、リーグ全体で見れば、総数として多かったわけではない。
新潟は今季、6割を超えるボール保持率を武器に、攻撃では11本以上のシュートを放って1・73点を奪った。守備ではシュートを7本ほどに抑え、失点を0・83に抑えた。1試合平均でみると、最強の矛と盾を備えたチームの勝利は、必然だった。