
2022年、アルビレックス新潟はJ2リーグの頂点に立ちました。チームは今季の活動を終え、新たな体制への動きも始まっています。来季戦うJ1へ思いをはせる前に、試合データからチームを分析し、いま一度今季を振り返る連載「2022解体新書」を掲載します。(5回続きの3回目)
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アルビレックス新潟は2022年シーズン、25勝9分け8敗の戦績だった。25勝のうち23勝は先制した試合であることなど、勝利には共通項があった。一方でデータを読み解くと、8敗にも共通点があったことが分かる。
キーワードは「パス」。新潟が敗れた試合は、いずれも相手のパス本数が200〜300本台と少なく、かつ新潟がボール保持率で上回っていることだ。
つまり、新潟は守備を固め、手数をかけない攻撃をする相手が苦手だった。

典型例の一つが2戦2敗で、いわゆる「ダブル」を食らった千葉との対戦だ。第7節(アウェー)では千葉のパス本数は378本。新潟は保持率を58%としながら、スコアは0-1だった。第25節(ホーム戦)はさらに際立つ。新潟の保持率は72%で試合を支配しながら、MF島田譲の直接FKの得点のみで、1-2で敗れた。千葉のパス本数は200本だった。
横浜FCとの対戦も興味深い。まず第17節(ホーム戦)は新潟の保持率が49%で、互角の展開の中、3-0で快勝した。パスの本数は、新潟が594本、横浜FCは587本だった。
しかし、約1カ月後の第23節は様相が一変した。相手のパス本数が263本(新潟は722本)で、新潟の保持率は62%にまで高まる。明らかに戦い方を変えられ、0-2で敗れる結果となった。

ボールを保持し続ければ、攻められることはない-理屈上ではそうなるが、必ずしも「持つ者」が勝つわけではない。
ロングボール主体の岡山とも対戦成績が1分け1敗で相性がいいとは言えなかった。2分けだった徳島は高い強度の守備で新潟のパス回しを寸断してきた。
守備に特長を持つ相手に対し、どうリスク管理しながらゴールを奪うか-。ボールを握りたい新潟にとっては宿命とも言える課題だ。
「ボールを大事にするという理念を持ち続けることは大事。でも理念を使うために、押してみたり引いてみたりする。手法をどう取るかがゲームの中では必要」
今季、松橋力蔵監督がコトバで示した一つの解決案だ。その結果は…。