新潟日報社は、新潟日報ブックレットの5冊目となる「長岡花火と嘉瀬誠次」を発売した。戦災や災害を乗り越えて発展してきた新潟県の長岡まつり大花火大会の歴史と、それを支えた長岡市の花火師、嘉瀬誠次さん(1922〜2023年)の生涯をまとめた。
嘉瀬さんは花火師の家の3代目として生まれた。太平洋戦争に出征し、シベリアで約3年の抑留を経験。帰国後、1951年の長岡花火で正三尺玉を復活させるなど数々の名花火を生み出した。90年にはシベリアで亡くなった戦友のため、慰霊の花火「白菊」を現地で打ち上げた。米国やブラジルでも花火を上げた。
ブックレットは、95年に嘉瀬さんを初めて取材し、101歳で亡くなるまで30年近く親交があった相田晃論説編集委員が書いた。
試行錯誤を重ねた正三尺玉復活の苦労話やシベリア抑留の過酷な体験などを嘉瀬さんの一人称でつづり、足跡を伝えた連載を再編集。実直な人柄や花火師としてロマンを追い続ける内面を描いた。
明治中期の油田開発で飛躍した長岡の産業界に支えられ、45年の長岡空襲や2004年の中越地震を経て進化を続けてきた長岡花火の歴史も書き下ろしでまとめた。長岡花火の今後の展望を聞いた関係者へのインタビューや嘉瀬さんの名言語録も収録した。
A5判80ページ。1100円。書店やNIC新潟日報販売店、新潟日報オンラインショップで販売する。QRコードからも申し込める。問い合わせは新潟日報社読者局出版企画部、025(385)7477(土日祝日を除く午前10時〜午後5時)。