「日本一おいしい球団」が新潟にある!?先日、TBSラジオの人気番組「アフター6ジャンクション2(アト6)」を聞いていたら、驚きの情報を耳にしました。今シーズンからプロ野球の日本野球機構(NPB)2軍に参戦した、オイシックス新潟アルビレックスBCのスタジアムグルメ(スタグル)が「セ・パ両リーグでダントツおいしい」とのこと。新潟県産食材をふんだんに使い、スタグル目的で球場に足を運ぶ人もいるそうです。実際、どんなメニューが? シーズン最終盤、駆け込みでホーム戦が行われるハードオフ・エコスタジアム(エコスタ)=新潟市=を訪れ、味わってきました。

 記者が取材した9月6日は、東京ヤクルトスワローズを迎えての3連戦初日。スタグルを扱うライト側売店には、列ができていました。

東京ヤクルトスワローズとの3連戦。1軍で活躍するピッチャーが登板し、会場を沸かせた=9月6日、新潟市中央区長潟のハードオフ・エコスタジアム

 「はい、和牛」「また、和牛」…。この日、発売された「にいがた和牛丼」(1500円)に注文が殺到。店員は対応に追われていました。

ハードオフ・エコスタジアムの売店。この日発売されたにいがた和牛丼が人気を集めていた=9月6日、エコスタ

 「にいがた和牛丼」は、県内で育ち、品質規格等級といった要件を満たした「にいがた和牛」を使用。口に入れた瞬間、脂の甘さと、とろける食感が広がります。「神楽南蛮味噌」を使った甘辛ダレがくせになるメニューです。

人気が集中していた、にいがた和牛丼。オイシックス新潟のファンの女性は「柔らかくて甘くて、今まで食べたことのない高級な食感」と言葉を失っていた

 エコスタでは現在、十数種類のメニューを販売していて、一番人気は、新潟県産牛たっぷり燻製カレー(900円)です。

 コシヒカリ、牛肉など県産の食材を使い、新潟県長岡市の創作肉料理店「和ダイニング 朔」のレシピを参考に考案。じっくり煮込んだ柔らかな牛肉に、野菜の甘みが感じられるカレールーがマッチし、くせになるおいしさです。

燻製カレーは和牛がゴロゴロ入っていて、食べ応えもバッチリ。スタグルの枠を超えて愛される逸品だ

 手軽に食べられるジューシー豚串(800円)も定番です。一般にはほとんど出回らない新潟県津南町のブランド豚「鬼の宝ポーク」を使用。オイシックスのオリジナルシーズニングが豚肉の甘みとうま味を引き立てます。新潟県妙高市の辛味調味料「かんずり」で「味変」できるのもうれしいです。

ジューシー豚串は野球を見ながら食べるのに最適。肉のうまみが口いっぱいに広がる

 スタグルについて、野球ファンに聞きました。さいたま市の大学4年の男性(22)は「新潟のスタグルは有名。カレーは具が多く、期待通りにおいしい」と笑顔。和牛丼をほおばっていた新潟県五泉市のパート女性(63)は「今季はフードが充実したので、野球もスタグルも両方楽しんでいます」と話していました。

◆オイシックス本社がメニュー開発

 新潟のスタグルは、なぜおいしいのでしょうか。

 球団は今シーズン、食品宅配大手「オイシックス・ラ・大地」(東京都)がメインスポンサーになったことで、初めてスタグル事業に乗り出しました。

 食品宅配で培った安全でおいしい食材を扱うノウハウを生かし、商品企画を手がけるメンバーがスタグル開発に携わっています。

 メニュー開発は本社のキッチンを使い、試作を重ねます。新潟の肉や野菜に、オイシックスで扱うこだわり食材を組み合わせ、何度も試食。味のバランスを見極めます。

津南町の雪下にんじんのスープと、オイシックスで販売するスイートコーンのスープを合わせた冷製2層ポタージュ(球団提供)

 オイシックス新潟のスタグル企画・運営を統括する池野成さん(29)は「コンセプトは日本一おいしい球団です。今季はビジターの増加が見込まれたため、両チームのファンに楽しんでもらえるメニューを提案しています」と教えてくれました。

 池野さんは3月、拠点を新潟に移し、おいしい飲食店や食材を探して県内各地を訪問。にいがた和牛や新潟沖で捕れたマダイ、黒埼茶豆、八色スイカなど「実際食べておいしかった物を提供している」そうです。

オイシックス新潟のスタジアムグルメを担当する池野成さん。新潟の食の魅力を体感し、スタグルで発信している=エコスタ

 すでに来季に向け、農家とコンタクトを取り、今が旬のナシなど新潟県産食材の確保を進めています。

 池野さんは「シーズン最後の最後までスタグルを楽しんでもらいたい。新潟の食のポテンシャルを引き出し、球場に足を運ぶきっかけになるよう、常に『おいしい球団』を目指します」と意気込んでいます。

◆「いい店ある?」と聞かれたら「エコスタ」と答える

 「オイシックス新潟のスタジアムグルメは、プロ野球セ・パ両リーグでダントツ1位!!」。そう断言するのが、野球、サッカーなどのスタジアムで、年間300種類のメニューを食べる作家カルロス矢吹さん(38)です。「アト6」でスタグルの最新トレンドを紹介した研究歴20年という矢吹さんに、オイシックス新潟が提供する食の魅力を聞きました。...

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