新潟県内では企業や自治体が、子育てを応援するさまざまな取り組みを行っています。この特集では、子育て環境の改善や子どもたちが過ごす社会を良くするための事例などを紹介。子育て環境がより良い形で整っていくことで、みんなが笑顔で過ごせる新潟の“みらい”が見えてきます。

事業内容:ソフトウエア開発(業務系システム開発、地理情報システム開発など)、Webサイト構築(ホームページ制作、ECサイト、アプリ開発など)、SI業務(生産・工程管理、販売・仕入れ・在庫管理など)

お話を伺った方
株式会社インプレッシヴ/取締役 白倉信人さん

学校行事などへの参加の際に使える特別休暇を付与

 ソフトウエア開発を手掛ける株式会社インプレッシヴは新潟市に本社を置き、長岡市と東京に営業所を持つ会社です。新潟県が男女共同参画推進企業を認定する「ハッピー・パートナー企業」、国が子育てサポート企業として認定する「くるみん」を取得していて、比較的早い時期から子育て支援を行っている企業として注目されています。社員の平均年齢は39歳。まさに子育て世代が多く在籍し、育休後の職場復帰率は100%です。

 特徴的な支援の一つは独自の休暇制度。出産・育児休暇のほか、学校行事やPTA活動に参加する際に使う「子育て休暇」が年5日間、さらに「家族看護休暇」も年5日間付与されています。取締役の白倉さんは「有給休暇は社員自身のために使ってほしい、という考えから、こうした特別休暇が増えてきました」と話します。

 もう一つの特徴は勤務スタイル。希望者への時短勤務の導入、そして社員全員のテレワークが可能で、現在はおよそ8割がテレワークで仕事をしています。「オフィスを見るといつもスカスカで、来社された方からは社員50人以上の会社とは思えない、とよく言われますね(笑)」

オフィスの一角。座席は、固定の席を持たず好きな席を選べるフリーアドレス制。取材日にオフィスで作業していたのは5人ほどで、この日も社員のほとんどはテレワーク勤務だった

自己管理のもとでテレワークや時短勤務を活用

 同社が福利厚生に力を入れてきたのは、10年ほど前から。「その頃はIT企業というと残業が多くて休めないなど、ブラックなイメージが強かったのですが、創業者はそれを改善したい思いが強かったそうです。初めて女性社員が出産育児休暇を取得するのに合わせて時短勤務や時間単位での有給休暇などを導入し始めました」

 テレワークは降雪など通勤に支障がある場合が主だったのが、新型ウイルス禍を機に一気に普及。現在は全社員がテレワークに対応できる設備とワークフローを組んで実施しています。「お子さんがいる家庭では、低学年だと早い時間に下校します。夏休みなどもありますし、親が家に居られるのはすごく魅力的だと思います。私も小学生の子どもがいるので『おかえり』と言って子どもを迎えてあげられるのは大きいですね」

自身も1児の父である白倉さん。子どもの学校行事や通院時などに休暇制度を活用しているという。「自分の子育ての経験から改善した方が良いと感じたところは、ほかの社員や会社のためにも改善していきたいですね」と話す

 会社の取り組みが進むとともに、社内の意識も変化。男性の育児休暇取得も、当たり前になっています。「申請していないと、先輩社員から“どうして取らないんだ”という話が出るくらいになっているので浸透してきていると感じます。テレワークも休暇取得も、業務を進めるにあたっての自己管理力があってこそなのですが、リーダー層に子育て世代が多く、その姿が若手社員のお手本になっているように感じます」

 現在、業績は10期連続増収と好調。「社員がストレスなく働ける環境づくりによって、効率よく、気持ちよく働けていることが結果に結びついているのだと思います」と話してくれました。