日本酒仕込みのリキュール「越後武士」
日本酒仕込みのリキュール「越後武士」

 2025は巳(み)年。干支(えと)にちなみ、新潟県の魚沼地域の“ヘビー”なものを集めてみた。巨大なものから、「これはちょっと胃袋には重いんじゃない?」なんてものまで、担当記者が主観を交えながら選んだヘビー級の数々をご覧あれ。

 一口飲むと、切れ味鋭いパンチを受けたような衝撃が走る。玉川酒造(魚沼市須原)が造る「越後武士(さむらい)」のアルコール度数は46%。酒税法改正までは「日本一度数が高い日本酒」といわれた。

 本社の敷地内に、見学できる酒蔵施設「越後ゆきくら館」がある。試飲コーナーに製品が10種類以上並ぶ中で、越後武士が置かれる位置は必ず最後と決まっている。風間勇人社長(39)は「最初にこれを飲んじゃうと強烈すぎて、他の味が分からなくなる」と理由を明かす。

 甘辛度の目安となる日本酒度は、プラス5前後で辛口、プラス10以上で超辛口とされるが、越後武士はプラス66と「とんでもない辛口」(玉川酒造)という。

 越後武士は2000年に発売。本格焼酎のアルコール度数上限の45%を上回る日本酒として、話題になった。「新潟なら淡麗辛口のような、日本酒はこうあるべきだという考え方の壁を壊したかった」と風間社長。新潟県の日本酒出荷量が1996年をピークに落ち始め、このままではいけないという現場の危機感があった。

 酒米には新潟県産の五百万石、こしいぶきを使う。製造後、1年以上タンクに貯蔵して熟成させることで、味がまろやかになる。年間約1万5千リットルを製造し、主力製品の一つになっている。

日本酒の貯蔵タンクの前で説明する玉川酒造の風間勇人社長=魚沼市須原

 2006年の酒税法改正で、清酒のアルコール度数が22%未満と定められた。分類上はリキュールとなった越後武士だが、風間社長は「製法は日本酒と何ら変わらず、日本酒の可能性の広がりを表現したかった」と話す。

 飲み方はストレートやロックはもちろん、冷凍庫に入れると、凍らずにとろりとした舌触りになる。風間社長は「ライムを一搾りするのがお薦め。驚くほど切れの良い味わいを楽しんで」...

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