女子サッカーWEリーグ日本女子サッカー最高峰のプロリーグとして2021年からスタート。アマチュア中心の「なでしこリーグ」の上部カテゴリー。秋春制を採用し、昇降格の制度はない。2023~24シーズンから現行の12チーム参加となった。リーグ戦のほかにリーグカップがあり、皇后杯を含めて3大タイトルといわれる。のアルビレックス新潟レディース(新潟L)が、8大会ぶりに皇后杯全日本選手権で決勝進出を決めた。2002年のチーム創設から、日本一を争う決勝の舞台は5度目、一昨年のリーグカップを含めれば6度目となるが、過去はいずれも準優勝。決して輝かしい歴史ではなく、悔し涙でにじんだ歴史だ。
それでも、環境が良いとは言えない雪国に女子サッカーの種をまき、粘り強く育てて来た成長の軌跡でもある。男子アルビも昨年のYBCルヴァン・カップで準優勝。もう「シルバーコレクター」ではなく、悲願の初タイトルを得て、新潟サッカーの歴史を変えてほしい。そんな思いを込めて過去4度の皇后杯決勝を伝える紙面を振り返り、あらためて闘志を奮い立たせたい。
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初の夢舞台、強豪の壁
2012年1月1日
2011年。東日本大震災という大災害の後、サッカー女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会でのなでしこジャパンの優勝は多くの国民を勇気付けた。その年の暮れに快進撃を見せたのが新潟Lだった。

この時は「皇后杯」となる直前の全日本選手権。リーグ戦は5位に終わった新潟Lだが、準々決勝では、なでしこリーグ1部昇格後、初めて浦和から勝利。準決勝でも日テレから初勝利を挙げる。
日テレとの準決勝は2-1。得点者は当時日本代表でW杯でも活躍した阪口夢穂だ。続いて、現在も在籍する上尾野辺めぐみのCKに川村優理が頭で合わせ、決勝点。ちなみに日テレ側も現新潟Lの有吉佐織が得点を決めている。
当時の紙面は、こんな風にチーム一丸での勝利を伝えた。そして迎えた夢の元日の国立決戦。W杯優勝後の盛り上がりもあり、2万977人もの観衆が集まった。

当日のメンバー表を見ると、INAC神戸は先発にW杯優勝メンバー7人が並ぶ豪華な布陣。新潟Lも阪口夢穂や上尾野辺めぐみがいるとはいえ、厳しい試合を強いられた。

新潟は素早いプレスとロングボールを駆使し、序盤は互角に渡り合ったが、前半終了間際にセットプレーで失点すると、流れを変えられずに0-3。INAC神戸側の記事の中にはこんなことも書かれている。
王者に対し、完敗に終わった決勝戦。それでも新潟Lも2002年のチーム発足から10年でここまできた。発足当初を知る記者が書くには、
負けはしたが、日本一に手が届く場所まで来たことも確か。最年少の中学生は当時12歳の川村優理だったが、後にしっかりと日本代表まで上り詰める。
「この日の主役は新潟Lだった」
2013年12月23日
「決勝で0-3で負けて、何もできなかった。今度は成長した姿を見せたい」。そう意気込んだのは、背中に10番を背負い、この時は主将マークも巻いた上尾野辺めぐみだ。リーグ戦では8位に沈みながらも、皇后杯では準々決勝、準決勝と、自らの2試合連続ゴールで決勝までチームを導いた。
2度目の決勝で待っていたのは、またもINAC神戸。そして、やはり主将を務めていたのは、上尾野辺の幼なじみでもある川澄奈穂美だった。

新潟Lは守勢に回りながら、期限付き移籍中の快速FWマッカーティーのゴールで前半を1-0で折り返す。しかし、引いて守るカウンター狙いの戦いに納得がいかなかった選手がいた。
自分たちから仕掛けるサッカーでぶつかろうと声を掛けた。守備的MFで上尾野辺とコンビを組む斎藤は「はっと気付いた」という。後半は積極さを取り戻し、ボールを奪った。チーム全体で果敢に攻めた。「苦しい時でもゴール前に戻る。負けていても、頑張れば勝てる。そういう気持ちが出せた」と斎藤は、試合内容を誇った。
2-2のままPK戦までもつれ込んだ激戦だった。結末を決めたのはINAC神戸、川澄のシュートだった。


敗戦に変わりはなかったが、0-3で敗れた前回の決勝戦とは違う。
主役
2015年12月27日
現在は新潟Lの主将を務める川澄奈穂美が、最も印象的と振り返るのがこの時の皇后杯決勝だ。3度目の新潟LとINAC神戸による決勝戦。日本一を決める試合というだけでなく、一層注目されたのは...