
52年ぶりに公開された「夕鶴」。1972年の新作展で発表された。(蕗谷虹児記念館提供)
新潟県新発田市出身の叙情画家で詩人の蕗谷虹児(1898〜1979年)が晩年に描いた「夕鶴」の原画が、52年ぶりに発見された。佐渡を舞台にした昔話「鶴女房(鶴の恩返し)」をテーマにした作品で、新発田市中央町4の蕗谷虹児記念館で公開されている。
「夕鶴」は1972年、小田急百貨店(東京都新宿区)で開かれた虹児の新作展に出品された。当時の購入者やその後の所在については長年不明だった。
しかし、蕗谷家研究に携わり、記念館の展示開催に協力している新潟市中央区出身の三村哲弘さん(50)が2023年、県内の画商から売りに出されていた「夕鶴」を発見。三村さんが所有していた1972年当時の新作展の図録に、「夕鶴」が掲載されていたことから虹児の作品であることが確認され、購入した。
「夕鶴」は縦約50センチ、横約40センチ。作品のテーマは佐渡に伝わる昔話「鶴女房(鶴の恩返し)」で、三村さんは「虹児は故郷である新潟をテーマにした作品を晩年に多く手がけいている。夕鶴もそのうちの一つ」と話す。
虹児の作品は個人蔵が多いため収集や研究が難しく、これまで「夕鶴」も、蕗谷虹児記念館には下絵しかなかった。学芸員の伊藤千佳子さんは「小田急百貨店での新作展の会期は6日間で、...
残り154文字(全文:680文字)