
長期企画「碧(あお)のシグナル」の第5シリーズ「気候変動に挑む」は、海や大気の変化を探る研究者らに迫ります。(5回続きの2)
激しい嵐の中を突き進む観測船。体を持って行かれそうになりながら、計測器の付いたゴム気球を繰り返し飛ばしていく。新潟大学理学部教授の本田明治さん(57)らは、日本海側に豪雪をもたらすメカニズムの解明に挑んでいる。
研究チームは2022年と23年、新潟県に大雪を降らす「JPCZ」(日本海寒帯気団収束帯)を船で横断し、大気と海を同時に観測した。1時間ごとに「ラジオゾンデ」と呼ぶ小型センサーを付けた気球を飛ばし、湿度や気圧、気温を計測。海でも塩分や水温、水圧を調べた。
日本海の海水温は世界で見ても高い。23年1月、山陰沖での「最強寒波」の時は、気温マイナス2度、水温は14度で、最大16度の差があった。海からは大量の熱と水蒸気が空中に放出され、その水蒸気が集まって雪雲となる。
また約5500メートルの上空と海では...
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