
県から届いた「認定はしない」との通知を手にする加藤シズ子さん=阿賀町(画像の一部を加工しています)
31日に公式確認60年となる新潟水俣病1965年、新潟県の阿賀野川流域で公式確認された。阿賀野川上流の鹿瀬町(現阿賀町)にあった昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)の鹿瀬工場が、アセトアルデヒドの生産過程で生じたメチル水銀を含む排水を川に流し、汚染された川魚を食べた流域住民が、手足の感覚障害や運動失調などを発症する例が相次いだ。56年に熊本県で公式確認された水俣病に続く「第2の水俣病」と呼ばれる。を巡り、司法で患者と認められたにもかかわらず、国の行政認定を受けられない“ねじれ”が生じ、被害者を苦しめている。阿賀町の加藤シズ子さん(84)もその一人だ。昨春、新潟地裁で水俣病と認める判決を受けたが、今月、県と新潟市による公害健康被害認定審査会では棄却された。「何年も裁判をしてやっと認められたのに、なぜ」。国と司法で判断が割れる「二重基準」が解消されない限り、根本的な解決は遠のくばかりだ。
加藤さんは、水俣病の症状を訴える人が国と原因企業の昭和電工(現・レゾナック・ホールディングス)に損害賠償を求めた新潟水俣病第5次訴訟水俣病被害を訴える新潟市などの男女が2013年12月、国と昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に損害賠償などを求め新潟地裁に提訴した訴訟。原告が水俣病かどうかや、九州に続き新潟県でも水俣病が発生したことに対する国の責任の有無が主な争点となっている。の原告で、原告団長の皆川栄一さん(81)の姉だ。
新潟地裁は2024年4月、加藤さんや皆川さんら26人を水俣病と認める判決を下した。加藤さんは...
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