新潟の地から続けてきた努力が証明された。高卒4年目でプロ野球オールスターゲームの出場選手に監督選抜で選ばれた西武の滝澤夏央(21)。164センチと小柄ながら、高校野球で活躍。育成ドラフトから早々に這い上がり、プロの舞台で伸び伸びと躍動している。スピードと技術を攻守に生かし、西武の主力へと成長中だ。その軌跡を、新潟日報の紙面と写真から振り返る。

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「文理を倒すために」

 高校時代の滝澤夏央の名前が新潟日報の紙面に登場するのは、2019年、夏大会に向けたチーム紹介からだ。関根学園のショートを務め、「注目は1番の1年生滝澤。しぶとい打撃と俊足でチャンスをつくり…」と既に主力として注目を集める存在だった。ただ、この時は初戦で中越に敗れている。

 その名が紙面で大きく踊ったのは2020年、2年の夏からだ。

 3回戦、私立校対決の勝負を決める値千金のサヨナラ打だった。記事には、関根学園への入学を決めたエピソードも紹介されている。

 関根学園 9-8 新潟産大付
 延長十一回までもつれた接戦に終止符を打ったのは、関根学園の2年生滝澤夏央の一振りだった。1点差に詰め寄った後の2死満塁で、逆転のサヨナラ2点適時打。「どう喜んだか覚えてないけど」と二塁ベースを駆け抜けたところでガッツポーズ。ベンチから飛び出したナインに囲まれ、祝福を受けた。
(中略)
 同校が準優勝した2014年、兄の拓人さんは2年生で遊撃手のレギュラーだった。当時小学生の滝澤は日本文理に敗れた決勝戦をエコスタで観戦し、「絶対関根に入る」と決意した。憧れた兄と同じ遊撃手で1年の夏から主力に加わった。
 入学当初は30キロだったベンチプレスは、今では80キロを上げるまでに。「うちで一番いい打者」と指揮官も成長に目を細める。劇的勝利にも滝澤は「まだこれから。次も気持ちを切らさず戦う」と気を引き締める。頼れる3番打者が“打の関根”をけん引する。

 この夏は結局、...

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