マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)フェローの深谷幸司氏
 マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)フェローの深谷幸司氏

 日銀は10月30日、高市早苗政権発足後初の金融政策決定会合で、政策金利を現行の0・5%程度で据え置き、利上げ見送りを決めた。消費者物価の上昇率が前年比で3年半も日銀の目標である2%以上の水準で推移しているのを踏まえると、政策金利を今回引き上げてもおかしくなかった。利上げのペースは遅い。

 インフレは定着しており、政策金利の水準は低すぎる。金利の据え置きは6会合連続で、前回の9月会合と同様、投票権を持つ9人の政策委員のうち2人が利上げを求めて反対した。かつて講じた大規模緩和策の正常化に向けた動きは鈍い。

 今回の決定について日銀は、米国の高関税政策が日本経済にもたらす影響を見極める必要があることな...

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