金成マツが残したノートの翻訳に取り組む大須賀るえ子さん=10月、北海道白老町
 金成マツが残したノートの翻訳に取り組む大須賀るえ子さん=10月、北海道白老町
 金成マツが残したノートの翻訳に取り組む大須賀るえ子さん=10月、北海道白老町
 北海道立文学館が所蔵する、金成マツが残したノート=2日、札幌市
 金成マツらが残したノート(三省堂「覆刻アイヌ叙事詩 ユーカラ集1 PON OINA(小伝)」より)

 独自の文字を持たないアイヌ民族の口承の物語をローマ字で記録し、伝承に貢献した金成マツ(アイヌ名イメカヌ)が、10日に生誕150年を迎える。約20年で1万ページ以上に及んだ膨大なノートは言語学者金田一京助らの研究の礎となった。翻訳を続けるアイヌ女性は「民族にとってどれだけ言語が大事か。昔話一話でも多く翻訳して世に広める」と決意を語る。

 明治政府の同化政策でアイヌ民族は日本語の使用を強いられ、アイヌ語は次第に「滅びゆく言葉」と見なされた。昭和初期から金成が残したノートは、アイヌ語の貴重な資料とされている。

 翻訳に取り組む北海道白老町のアイヌ、大須賀るえ子さん(85)は幼少期に1年ほど、アイヌ語を...

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