英語やフランス語などに訳されている「ハンチバック」=10月、東京都渋谷区のBooks Kinokuniya Tokyo
 英語やフランス語などに訳されている「ハンチバック」=10月、東京都渋谷区のBooks Kinokuniya Tokyo
 市川沙央さん((C)文芸春秋)
 放送大の野崎歓教授
 翻訳家の鴻巣友季子さん

 難病のため人工呼吸器や電動車椅子を使って生活する作家市川沙央さんの小説「ハンチバック」への国際的な反響が広がっている。デビュー作ながら、ノーベル文学賞受賞者も出た欧米の有力な文学賞に相次ぎノミネート。識者からは「異例の快挙」との声が上がる。

 世界中で見られる「優生思想」に「多少のとげを刺せればうれしい」。市川さんは10月の共同通信の書面インタビューにそう述べた。

 2023年刊行の芥川賞受賞作「ハンチバック」は、グループホームで暮らす重度身体障害者の女性の怒りや欲望を、「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」「妊娠と中絶がしてみたい」といった挑発的なフレーズと乾いたユーモアを交えて描写。「健常者...

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