「水曜どうでしょう」より。大泉洋さん(左)と鈴井貴之さん((c)HTB)

 2026年が幕を開けました。今年は北海道発の人気バラエティー番組「水曜どうでしょう」が1996年の放送開始から30年となる節目の年です。旅が中心の低予算バラエティー番組で、レギュラー放送は2002年に終了しているにもかかわらず、現在も各地で再放送が繰り返されています。

 この人気番組に、何度か新潟が登場しているのをご存じでしょうか?

 なんと言っても有名なのは、屈指の名シーンとして、「藩士」と呼ばれる「どうでしょう」ファンを楽しませている「だるま屋ウィリー事件」です。1999年に放送された企画での一場面で、事件現場は旧山北町、現在の村上市でした。また、記念すべき1996年の初回の企画第1弾「サイコロ1」でも、新潟駅前などが映し出されます。

 人気番組の大きな節目である2026年の始まりを祝い、新潟の主な登場シーンを振り返ります!

◆「だるま」と「魚沼産コシヒカリ」!

 新潟と「水曜どうでしょう」とのつながりを語る際、真っ先に挙げるべきは「だるま屋ウィリー事件」でしょう。一体何があったのか、概要を説明します。藩士の方はしばしお付き合いください。

 事件は1999年に初回放送された企画「72時間!原付東日本縦断ラリー」で起きました。東京・銀座の店舗で原付き(原動機付き自転車)を買い、72時間以内に1000キロ以上離れた札幌まで乗って帰るという、過酷な旅です。番組のお決まりですが、大泉さんには事前に企画内容が知らされず、突然、原付きを運転させられます。

 大泉さんと、大泉さんが所属する芸能事務所の創業者で、番組の企画にも携わる「ミスターどうでしょう」こと鈴井貴之さんがそれぞれ原付きにまたがり、その後ろをディレクターらが車で追走するという構図です。大泉さんと鈴井さんはマイクとイヤホンと何らかの装置を身に着け、互いに、また、車の中のディレクターらと会話をしながら、先を急ぎます。

 東京・銀座を出発したのは1999年6月25日(金)です。初日は埼玉県や群馬県を経て、三国峠を越え、湯沢町で一泊しました。

 翌6月26日(土)は新潟県内をひたすら北上します。六日町、柏崎、出雲崎、寺泊…新潟県民にはおなじみの景色を、タレントお二人が延々と原付きを操りながら走る後ろ姿とトークが楽しめます。

原付きを後ろから眺めるシーンのイメージ(村上市提供の写真をトリミング)

 お顔はなかなか拝めませんが、荷台には道中で入手した積み荷が載せられています。大泉さんは群馬・高崎のだるま。鈴井さんは新潟県が誇る魚沼産のコシヒカリ25キロ。このため、大泉さんは「だるま屋」さん、鈴井さんは「米屋」さんと呼ばれるようになります。

だるま屋ウィリー事件の現場へと向かう道

 夕方になり、山形県境に迫るところで事件は起きました。片側交互通行となっている工事現場にさしかかると、簡易的な工事用の信号が設置されていました。表示されているのは「赤」。二人は停止して信号が「青」になるのを待ちます。10、9、8…カウントダウンが始まり、ついに「GO」が表示されました。鈴井さんがスムーズに走り出す一方、大泉さんはギアチェンジ失敗。だるま屋さんの原付きが荒馬のように前輪を浮かせて走り、ウィリー状態になってしまうのです。

「水曜どうでしょう」のDVD。「だるま屋ウィリー事件」の場面がジャケットに使われている

 あわや!と息をのむハプニングですが、タレント陣の臨機応変なコメントと、抜群のさじ加減の編集やナレーションにより、爆笑シーンとなっています。大泉さんが自分に起きた状況を端的に表現した「ギアいじったっけ、ロー入っちゃって、もうウィリーさ」は、藩士ならそらんじて言える名言です。見たことがない方は、ぜひDVDなどでご覧下さい!

 この記事の後半では「だるま屋ウィリー事件」を巡る衝撃の事実(!?)と現場の“今”、ほかの新潟の登場シーンについてご紹介します。「水曜どうでしょう」をご存じない方に向けて、番組の魅力も解説します!...
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