棋王戦で熱戦を繰り広げた棋士たち
棋王戦で熱戦を繰り広げた棋士たち

 3月1日に新潟市中央区で第3局が指される将棋の棋王戦は今回が51期目。半世紀の歴史の中で数々の熱戦が新潟県内で生まれた。米長邦雄永世棋聖ら往年の大棋士がタイトルを奪い合った昭和、羽生善治九段や渡辺明九段が連覇を重ねた平成、藤井聡太棋王が彗星(すいせい)のごとく台頭した令和。新潟日報社が昨年発行したブックレット「にいがた将棋物語」から歩みを振り返る(本文敬称略)。

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 棋王戦は将棋八大タイトルの一つ。1974年度に一般棋戦として創設され、75年度に公式タイトル戦に格上げされた。これまで現棋王の藤井聡太を含め、16人がタイトルを獲得した。

 新潟県内で初めて開催されたのは第4期(78年度)だった。後年、「ひふみん」の愛称で親しまれることになる棋王の加藤一二三に米長邦雄が挑戦。新潟市で行われた5番勝負第3局は、連敗してかど番の加藤が午後10時過ぎまでもつれ込んだ激闘に勝利。意地を見せた1局だったが、シリーズを制したのは米長だった。

 初期の棋王戦は新潟ならではの光景も見られた。新潟市で指された第6期の第3局(81年)では、棋王の中原誠と挑戦者の米長が昼食休憩の時、大広間に席を並べてへぎそばを味わった。現在は対局者がそれぞれの自室で昼食をとることが多いが、当時はへぎそばをみんなでつつくのが新潟での定跡だったようだ。

第8期棋王戦で昼食のへぎそばと天ぷらを囲む対局者の米長邦雄棋王(左)と大山康晴十五世名人(中央)ら=1983年3月、新潟市の室長

 5連覇が条件の永世棋王の資格を持つのは羽生善治(計13期獲得)と渡辺明(計10期獲得)の2人だけだ。羽生は16期から27期にかけ、12連覇の偉業を達成した。

第25期棋王戦第4局で勝利した羽生善治棋王(左)。挑戦者は森内俊之八段=2000年3月、新潟市のホテルイタリア軒

 羽生の後、38期から47期にかけて10連覇を果たしたのが、両親が上越市出身の渡辺だ。渡辺は羽生にストレート勝ちした第40期(2014年度)に深い思い入れを抱いている。シリーズ決定局の舞台は柏崎市。対局室から一望できた日本海の美しさを今でも覚えているという。インタビューに「棋王戦と言えば羽生さんというイメージが強い中、ストレート勝ちできたのはすごく印象に残りました」と語ってくれた。

第45期棋王戦第3局で勝利した渡辺明棋王=2020年3月、新潟市中央区の新潟グランドホテル

 現将棋界のスーパースター藤井聡太が登場するのは第48期(22年度)だ。渡辺に挑戦した当時は五冠だった。藤井が2連勝した後、新潟市での第3局は最終盤まで形勢が二転三転する大接戦になり、勝利の女神は渡辺にほほ笑んだ。がっくりと肩を落としながらも指し続ける藤井の姿に勝負への執念がにじんだ。

第49期棋王戦第3局に勝利し、感想戦で盤面を見つめる藤井聡太棋王=2024年3月、新潟市中央区の新潟グランドホテル

 藤井はその後、シリーズを3勝1敗で制し、棋王を奪取。第49期は前人未踏の全八冠として臨み、伊藤匠との同世代対決に勝利した。現在は3連覇中。この先、どんな歴史をつむぐか注目される。

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新潟日報ブックレット「にいがた将棋物語」

 「にいがた将棋物語」には過去の新潟対局のプレーバックを掲載している。第49期に焦点を当てた振り返りや渡辺九段への特別インタビュー、将棋の豆知識をまとめたコラムも収録した。A5判で本文80ページ。1100円。問い合わせは新潟日報社出版企画部、025(385)7477(平日午前10時〜午後5時)

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