第9弾 新潟市

水の都 夏の姿

 連日の暑さに息が詰まりそう。目にも涼しい景色を眺めて、大きく深呼吸をしたい。「水の都」と呼ばれる新潟市は海、川、潟、滝など、8区それぞれに多彩な水辺空間を誇る。手軽に行ける定番スポットから隠れた名所まで、物価高や感染禍で遠出をためらう人にもお薦めな「安・近・涼」の水辺の姿を紹介する。

<1>間瀬銅山跡の滝(西蒲区)
涼感の登山 道歴史感じ

新潟日報 2022/08/16

 「銅山」の響きだけで、ひんやり感じる。登山道に足を踏み入れると、さらにひんやり。沢伝いに「サー」の水の音が心地よく、歩を進めると、かわいらしい滝が目に飛び込んでくる。

生い茂る木々の中から姿を現した滝。眺めているだけで心癒やされる=新潟市西蒲区の間瀬銅山跡
生い茂る木々の中から姿を現した滝。眺めているだけで心癒やされる=新潟市西蒲区の間瀬銅山跡

 弥彦山と多宝山の麓にある間瀬銅山跡(新潟市西蒲区)。岩室村史などによると、1701(元禄14)年に採掘が始まり、最盛期には約300人が住み、月約50トンの鉱石を採掘。銅器の原料としても使われ、燕や弥彦の銅器産業のルーツになっているという。銅の産出減とともに、1920(大正9)年に閉鎖された。

 銅山跡は、地元ガイドグループ「いわむろ案内人(びと)」が案内してくれる。事務局の竹内みよ子さん(72)は「銅山には坑道や集落の跡が残り、採掘時の様子を知ることができる」と魅力を語る。

 滝は高さ3、4メートルほど。滝打たれの修行には物足りなそうだが、冷たくてきれいな水で顔を洗うだけで気分爽快だ。

 「ぜひ滝を観光コースに組み込みたい」と竹内さん。銅山コースはカタクリが咲き誇る春が観光客に人気だが、「滝を加えることで夏の銅山の魅力を一層高めたい」と強調する。この夏から下見を始め、実現に向け企画を練っている。

 銅山と滝。新たな涼感スポットが誕生しそうだ。

間瀬銅山跡は、地元ガイド「いわむろ案内人(びと)」が案内する。問い合わせは観光施設「いわむろや」、0256-82-1066。