外国人労働者について意見を交わすベトナム人留学生ら=8日、新潟市中央区
外国人労働者について意見を交わすベトナム人留学生ら=8日、新潟市中央区

 人口減少などを背景に、新潟県内でも工場や介護現場、サービス業で働く外国人労働者の姿が目立つようになった。憲法は日本国民の参政権を保障するが、外国人参政権は認めておらず、彼らの声は政治に届きにくい。県内で多くが暮らすベトナム人は、衆院選の投開票日を前に「外国人労働者を大切にする国になってほしい」と願っている。

 「外国人だからか、人使いが荒かった。ロボットみたいな扱われようだった」

 五泉市内の温泉旅館で働くブイ・ティ・ハーさん(23)は、昨年まで3年半働いた宮城県の食品工場を思い起こす。来日して間もない頃、日本人の上司に理不尽に怒られたが言い返せず、悔しい思いをした。会社の工場3カ所を回っては、毎日同じ作業を繰り返した。「郷に入っては郷に従え」。独学で覚えた日本語で自分に言い聞かせるよう言い、「我慢するしかなかった」とうつむく。

 ハーさんは高校卒業後、両親、弟、妹が暮らす実家の家計を支えるため、2017年に来日した。月15万円に満たない収入のうち、仕送りは約10万円。「必要最低限のものしか買えない。豪華なものを買うとか、遊びに行くなんて無理」

 技能実習の期間を終えたが、日本で働き続けようと特定技能の在留資格を取る準備をしている。

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 県内の外国人労働者は2011年以降、増加傾向にある。新潟労働局によると、20年はウイルス禍で留学生が入国できず、前年より3人減の1万427人と横ばいだが、11年の4398人から倍増している。

 これに伴い、技能実習生が働く県内事業所の法令違反も増加する。県内労基署が20年に監督指導した112件のうち、7割超の83件で違法残業など違反があり、過去5年で最多だった。

 今春には下越地方の縫製会社2社で残業代未払いが発覚し、ベトナム人実習生6人が支援団体に保護されることもあった。

 ハーさんは「実習生の多くが残業して稼ぎたいと思って来日する。仕送りをしたいのに未払いがあるなんて」と声を落とした。

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 日本で暮らすベトナム人の多くが経済的な負担を重荷に感じている。

 新潟市中央区の事業創造大学院2年、ファン・フウ・ティエンさん(29)は技能実習生と受け入れ企業間の通訳をしている。この半年間で7回仲介し、低賃金や残業代未払い、ウイルス禍による帰国困難に悩む同胞に出会った。ティエンさんは政治に対し、「経済的に悩む外国人のためになる政策を打ち出してほしい」と力を込める。

 ウイルス禍の影響も重くのし掛かる。長岡技術科学大の大学院1年、グエン・ヴー・チュン・キエンさん(22)は、アルバイト先のラーメン店が営業時間を短縮し、収入が減った。「入学金や授業料が高い。ほとんどの留学生がアルバイトをしないと暮らしていけないのに」と話す。

 自分と同様に悩む留学生を救うため、県内企業から米やインスタントラーメン、マスクの寄付を募り、寮生活を送る仲間らに分け与えた。政府が昨年支給した給付金の申請方法が分からない知人が多く、日本語を話せる自身の元に、多数の相談が寄せられた。

 キエンさんは「外国人を支援する制度はあっても日本語の説明が難しく、必要な人に情報が伝わらない。外国人労働者向けの仕事やサポートを充実させてほしい」と政治に求めている。