10月31日に行われた衆院選で自民党は公示前から15議席を減らした。新潟日報社が新潟県内6小選挙区で継続して聞き取りした有権者24人からは「自民1強では弊害がある」といった声が聞かれた。安倍、菅両政権で指摘されたおごりや政治姿勢への不信感があるとみられ、岸田政権には「国民に寄り添った政権運営をしてほしい」と望んでいる。
約9年に及ぶ自公政権では、森友・加計問題などで説明責任が十分に果たされていないと感じた人もいた。2017年の衆院選比例代表で自民党に投票した新潟市東区の無職女性(72)は今回、立憲民主党を選んだ。「岸田政権には、国民が納得できるよう説明を尽くす政治をしてほしい」と求める。糸魚川市の自営業女性(60)も「政策を進める際は説明責任を果たして」と注文した。
自民に投票した人は、岸田首相が今後取り組む経済対策に期待を寄せる。村上市の飲食業女性(74)は「企業の利益は広く分配して、みんなが豊かになる社会を築いてほしい」とし、三条市の会社員男性(35)は「今以上に地方に目配せし、経済を回す政策を実行してほしい」と求めた。
自公政権で生活が上向いたと実感できずにいる上越市の会社員男性(34)は、「今回が最後のチャンスとの思いで自民に票を入れた。国民のために尽力してほしい。確実な結果を求めたい」と訴えた。
ウイルス禍で所得減に直面する人や社会のデジタル化についていけない人など格差に苦しむ人たちへの目配りを求める声も。新潟市中央区の男子高校生(18)は「弱い立場の人や、改革を進めることで影響を受ける分野をフォローする政策をとってほしい」と話した。
北朝鮮による拉致問題は解決への道筋が見えない。新潟市で横田めぐみさんが拉致された年に生まれた同市秋葉区のパート女性(44)は「本当に長い時間だ。何とか問題を動かしてほしい」と語った。
自民1強に対峙(たいじ)する野党の奮起が必要と考える人も目立った。県内では6小選挙区で4議席を野党系が獲得したが、全国で見ると野党第1党の立憲民主は議席を減らし、2日には枝野幸男代表が辞任を表明した。
十日町市の無職男性(73)は「森友・加計問題の対応に自民は独裁的だと感じた。与野党の勢力が拮抗(きっこう)することで、緊張感のある政治になることが必要だ」とした。
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