10月31日に行われた衆院選で、新潟県内小選挙区は野党系が4勝2敗と勝ち越した。新潟日報社は解散直前と公示後に続き、県内6小選挙区の同じ有権者24人に、投票先とその理由などを聞いた。比例で本県自民党候補の復活当選が相次ぎ、現行の選挙制度への賛否もあった。投票行動からは、実行力への期待や、政治の変化を求める声が目立った。
県内では小選挙区で落選した自民党候補の4人が比例で復活。4区と6区の候補は、それぞれ有効投票数の49・9%、49・5%を獲得し僅差で敗れた。
「選挙は国民の意志を問うもの。結果として国会に民意が届けられるので良いと思う」。投票した候補が比例復活した上越市の会社員男性(34)はそう受け止める。
一方、大差で敗れても、国会議員になれる制度を疑問視する声も上がった。
新潟市西区の薬剤師女性(32)は「僅差で負けた候補には応援していた有権者も多いので、復活はまだ理解できる。でも大敗した人が議員になるのはおかしい」と首をかしげる。
比例制度に否定的な上越市の主婦(47)は「所属政党が大きいほど復活できる可能性が高いというのは、候補者のおごりにつながる」と指摘した。
今回の聞き取りでは、自民と野党系の候補に投票した人の数が拮抗(きっこう)した。
「最初は自民候補にしようと思ったが、自民以外に入れて、今の状況を変えたいと思った」。長岡市の主婦(36)は悩んだ末、野党系候補に投票した。与党の新型ウイルス対策が不十分だと感じていたことも要因の一つとなった。
新発田市の農業男性(41)は本県の主産業である農業政策に注目。与野党を比較し「自民候補が訴える政策の方が実現の可能性が高いと感じた。与党の方が実行力もある」と考えた。
自民候補に入れた柏崎市の飲食業女性(61)も「野党の訴える政策は本当に実現できるのかと思った。もし政権が変わった時に、新型ウイルスのワクチン入手の交渉ができるか不安もあった」と打ち明けた。
比例代表では、躍進した日本維新の会への期待がうかがわれた。燕市の会社員男性(55)は「自民党政権の抑止力となり、政治に新しい風を吹き込んで改革してほしい」とした。
野党第1党の立憲民主党には24人中11人が投票。新潟市北区のパート女性(46)は「与党に意見してくれる人を国会に送りたかった。何か変化があるか見てみたい」と話した。