サッカーJ1アルビレックス新潟の伊藤涼太郎選手(25)が、活躍の舞台を欧州へと移します。ベルギー1部シントトロイデンに完全移籍するため、6月11日にホームで行われる第17節京都戦を最後にチームを離れます。
伊藤選手はJ2時代の2022年シーズンから在籍し、J1に復帰した今季もチームをけん引しました。15歳以下(U-15)から年代別の日本代表に選ばれ続け、高校卒業後、強豪・浦和でプロのキャリアをスタートしました。しかし、そこからの歩みは、順風満帆な時ばかりではありませんでした。
「もう一度、J1へ行く」。伊藤選手は強い覚悟と決意を持って、新潟の選手となりました。それは、自らの存在価値を証明するための戦いでもありました。結果にこだわり続け、数々のドラマを演出し、サポーターに多くの喜びをもたらしてくれた伊藤選手。新潟での活躍を掲載した記事などで、その歩みを振り返ります。

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◆U-17代表として… 2015年7月
プロ入りする前、伊藤涼太郎選手は新潟で国際試合のピッチに立っている。
「国際ユースサッカーin新潟」。2015年7月に新潟県内で開かれた大会にU-17日本代表が参加した。当時のメンバー表には冨安健洋選手(現アーセナル)、伊藤洋輝選手(現シュツットガルト)らとともに「伊藤涼太郎」の名前があった。

日本、メキシコ、セルビアの代表などが集った大会で、伊藤選手は現在と同じ背番号13を背負っていた。登録はFW(フォワード)。周りの選手達はほとんどがJクラブのユース所属だったが、伊藤選手の所属は岡山・作陽高校(現作陽学園)。Jクラブのユースには昇格できなかったが、年代別の代表の座を努力で勝ち取っていた。
◆プロデビュー~覚悟の移籍 2016年~2021年
高校のサッカー部で技術を磨き、成長した伊藤選手は、2016年、浦和レッズに加入する。高校からの加入は期待の高さを伺わせるが、待っていたのは出場機会に恵まれないという厳しい現実だった。
プロ2年目の途中、育成型期限付き移籍でJ2の水戸に加入する。水戸で出場機会を増やすと、J1だった大分を経て、2020年に浦和へ復帰を果たした。
しかし、出場機会はまたも限定的だった。この頃には、年代別で呼ばれていた日本代表にも呼ばれなくなっていた。21年シーズンの後半は再び水戸でプレーした。20試合に出場、4得点をマークした。そして、22年シーズン、大きな決断の末、完全移籍で新潟へ。J1でのゴールはゼロ、リーグ戦の出場は11試合と、思うようなキャリアを積み上げることができないまま、プロ入りから6年の月日が流れていた。
◆覚悟と決意と躍動と 2022年
「大きな覚悟を持って移籍を決断した。新潟に加入した意味を、プレーで証明したい」
プロ7年目の2022年、選手としてレベルアップするため、熟考を重ね、新潟への完全移籍を決断した。浦和で活躍できなかった悔しさを...