両津港の佐渡汽船ターミナルへ向かうカーフェリー。新潟市と同じ衆院小選挙区となった佐渡市だが市民は複雑な思いを抱えている=佐渡市
両津港の佐渡汽船ターミナルへ向かうカーフェリー。新潟市と同じ衆院小選挙区となった佐渡市だが市民は複雑な思いを抱えている=佐渡市

 衆議院小選挙区の定数「10増10減」を反映し、1票の格差を解消する改正公選法が成立して1年がたった。新潟県の定数は6から5に減り、選挙区の区割りが大幅に見直された。選挙区の線引きは、国の審議会が市町村の区画に加え、地域のまとまりや地勢、交通事情などを「総合的に」考慮して決めたものだ。新たな区割りは住民に受け入れられているのか。記者が歩き、有権者や政治関係者の思いに耳を傾けた。

 「島民からすれば全く別の都市という感覚。そこと一緒で本当にいいのかな」。新潟県佐渡市の佐和田海岸で出会った相川地区の50代会社員男性は首をかしげた。

 衆院小選挙区の区割りが変わり、佐渡市は新潟市中央区、東区、江南区とともに新・新潟1区新潟市中央区、新潟市東区、新潟市江南区、佐渡市となった。

 旧2区時代の佐渡市は、海を挟んだ燕市や柏崎市など8市町村のうちの一つ。だが、佐渡市のエリアは1996年の衆院選で小選挙区制が導入されるまでの中選挙区一つの選挙区で定数(当選する人数)が3~5の制度。1選挙区の定数が1であれば小選挙区、複数であれば大選挙区と分けるため、中選挙区は大選挙区の一種とされる。大選挙区は基本的に県などの単位を一つの選挙区とするのに対し、中選挙区は一つの県などの中に複数の選挙区が設定される。戦前に採用されたほか、戦後も1994年に小選挙区比例代表並立制が導入されるまで続けられた。時代、旧新潟市と一緒だった。主要航路で結ばれている間柄でもある。新潟市と同じ選挙区の方が、佐渡市の有権者に受け入れられているのでは-。そう思い島内を歩いたが、返ってきた反応は冒頭の男性のように想定とは異なった。

◆佐渡市と一緒は新潟市のどのエリアか、区割り審で議論白熱

 新しい区割りを決めるに当たり、衆院選挙区画定審議会(区割り審)では、佐渡市を新潟市のどのエリアと一緒にするかで議論が白熱したという。「新潟市中心部」「同市西部など」が検討された...

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