街頭演説に集まった有権者に握手をして回る米山隆一(中央)と妻の室井佑月(右隣)=10月18日、見附市
街頭演説に集まった有権者に握手をして回る米山隆一(中央)と妻の室井佑月(右隣)=10月18日、見附市

 新潟県内小選挙区の定数が6から5に減り、再編された新たな区割りでの初めての衆議院選挙(衆院選)は、立憲民主党が全議席を奪取し、自民党の比例代表復活も1議席しか許さない結果に終わった。異例の超短期決戦では、有権者の支持を得るべく、各候補が激しい陣取り合戦を繰り広げた。各選挙区の12日間の選挙戦を振り返る。(5回続きの4、敬称略)

 まばらな聴衆に、買い物客が一人、また一人と加わる。多い時には100人規模にも膨れ上がった。長岡市中心部のスーパー前。立憲民主党の米山隆一(57)がマイクを握り、妻で作家の室井佑月が笑顔で握手をして回る。「動員がなくても、多くの人が集まり聞いてくれる」。衆院選終盤、街頭演説は勢いを増し、陣営は手応えを感じた。

 前回は無所属で事実上の野党統一候補として旧5区を制した米山は今回、立民公認となった。共産党が組織的な支援をせず、立民独自の組織もない中、当初はビラの配布にも苦労した。支えたのは社民党関係者だった。選挙対策本部長は社民の元県議、長部登。後継県議、諏佐武史らも動いた。

 陣営は選挙戦で立民の政党色をあえて出さず、政策に強い本人の個性を生かす戦略を取った。米山は街頭で自民党派閥の裏金事件を批判しつつ、物価高など自公政権の課題も生活者目線で指摘。東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。の再稼働問題は是非ではなく、県民投票というプロセスを重要視するなど間口を広げた。

街頭演説する米山隆一氏=10月15日、長岡市

 前知事だったことや、...

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