製作終了となったJR東日本新潟支社の折り畳み時刻表
製作終了となったJR東日本新潟支社の折り畳み時刻表
新潟市役所ターミナルバス待合室。紙時刻表があった棚にはスマホの利用を呼び掛けるお知らせが張られていた=3月、新潟市中央区

 新潟交通(新潟市中央区)が昨年11月のダイヤ改正を機に路線バスの紙の時刻表を廃止したことを受け、「スマートフォンを使いこなせる人ばかりではない。弱者切り捨てです」と訴える声が、新潟日報社の「もっとあなたに特別報道班」(もあ特)に寄せられた。新潟交通は「印刷しても余る量が近年増えていた」と理解を求めるが、「困ります」との声は同社にも寄せられたという。ただ、バス以外の公共交通でも、紙の時刻表廃止の動きが全国的に加速している。(報道部・鈴木啓弘)

 「パソコンも携帯電話もないバス利用者はいます」と意見を寄せたのは、新潟市中央区の団体役員の男性(69)だ。

 新しい時刻表が発行されると自らコピーし近所のお年寄りに配っていたという高橋さんは、取材に対し「携帯を持っていても、データを取れない高齢者は多い。冷たいね」と嘆く。

 「(時刻表に載せる)広告を募って発行する方法もあるのでは」と提案する。
 感染禍による経営悪化で、新潟交通は新潟市に2億5千万円の緊急支援を求めている。

 同社によると、2020年度は前年度に比べ約16%部数を減らした。22種類、年2回発行した紙時刻表をやめることで数百万円の経費削減になる。乗合バス部の川﨑裕樹課長は「窓口で申し出れば、見たいダイヤを印刷するサービスは続けている」と強調する。

 一方、4月にダイヤ改正を控える越後交通(長岡市)は、紙の時刻表を今まで通り発行する。窓口や案内所に、路線別に置いているという。乗合バス課は「発行しても余る傾向にはあるが紙媒体を必要としている乗客がまだいる」と語る。

 頸城自動車(上越市)は同市内で路線バスを運行しているが、上越市が同社の路線やダイヤなどを含めたA4サイズの冊子「公共交通総合時刻表」を発行し、無料配布してきた。

 22年度は、行政情報なども加え計8万1千部を作製し、上越市内に全戸配布する。製作費は企業や店舗などからの広告費で賄った。同市交通政策課は「やっぱり紙がいい、という声がある」と話し、利用促進の狙いも含め配布している。

 日本バス協会(東京)は「各社の動向は分からない」としているが、隣県では金沢市内でバスを運行する北陸鉄道(同市)が昨年、冊子の時刻表を廃止した。

◆JR東新潟支社 「折り畳み」製作終了

 紙の時刻表をめぐっては、JR東日本新潟支社や私鉄などでも廃止が相次いでいる。

 新潟支社はこれまで、在来線や新幹線のダイヤを載せた紙製の折り畳み時刻表を発行し、管内の駅構内に置いていた。しかし、今月12日の春のダイヤ改正を前に製作終了を決め、新ダイヤについては、スマホやパソコンのウェブサイトを見るよう呼び掛けている。

 新潟支社は取材に対し、「スマホなどの普及状況を鑑みて、一定の役割を終えたと認識している」と語った。製作終了による経費削減額は非公表という。

 友人に会うため新潟駅に来ていた村上市の無職の女性(68)は、バッグにスマホのほか紙の時刻表も必ず入れて持ち歩いているといい、「高齢者はスマホで調べるのが大変」と嘆いた。

 ほかに廃止したのは小田急電鉄やJR九州、西日本鉄道など。

製作終了となったJR東日本新潟支社の折り畳み時刻表


◆りゅーと ポイント付与削減

 新潟交通が紙の時刻表と同時期に廃止したのは、ICカード乗車券「りゅーと」の基本ポイントだ=図参照=。平日は運賃の10%、休日は20%が付与され、1ポイント1円として還元されていた。

 例えば、210円区間を平日1往復すれば42ポイントたまり、5日間で210ポイント(円)が翌月以降に還元されていた。2011年のサービス開始時からあった。現在はボーナスポイントだけが継続されている。

 新潟市へ支援を要請している新潟交通は秋の運賃値上げも検討。22年3月期の連結業績予想で7億円の純損失となった同社は、新型ウイルスのオミクロン株の影響などを挙げ「収支改善策を継続していく必要がある」とした。