「赤ちゃんとお母さんは十人十色。子育ての仕方はそれぞれ違っていいんだよ」。新潟市北区の助産師佐久間沙都美さん(41)が、子育てに悩むママによく語りかける言葉です。佐久間さんは、「開業助産師」として地域で親子を応援する役割を担っています。「一人一人に合わせて悩み事の解決方法を一緒に考えていきたい」と力を込めます。

 佐久間さんは新生児がいる家庭を訪問し、退院して間もない赤ちゃんとママの体調のチェックをしたり、相談を受けたりしています。出産後のママはホルモンバランスの影響で気持ちが不安定になりやすく、「順調に育っていますよ」との助産師の声掛けは自信につながるそうです。

新生児の頃に関わった赤ちゃんと子育て支援センターで再会した佐久間さん

 佐久間さん自身、16年前に長女を出産した際、訪問してくれた助産師の存在に「救われた」と振り返ります。石川県出身で結婚を機に新潟市に住み、すぐに出産。慣れない土地で初めての子育ては不安でいっぱいでした。この経験が今の仕事を始めるきっかけとなりました。

 子育ては、育児書や専門家の指導に当てはまらないことがほとんどです。「夜中は寝かせなければいけないと言われても、その通りにいかない。『せねばならない』と思わなくてもいい」とアドバイスします。

 育児中のママを孤立させないことも大切です。「いろんな人に頼ってほしい」と強調。地域の人たちには、見守り役になってほしいと考えています。区の自治協議会の委員として、子育て世代の声を市政や地域に届ける活動もしています。「防災訓練などに子連れで参加し、顔見知りを増やしてみてほしい」と助言します。

佐久間さんが委員を務める北区自治協議会が作成した子育て応援の冊子
新潟市から委託を受けて実施した防災講座。赤ちゃん連れで避難するこつをアドバイスした佐久間さん(中央)

 新型コロナウイルスの影響で出産前に育児について学ぶ機会が減ったり、立ち会い出産が制限されていたりして、妊娠・出産をマイナスに捉える人もいるそうです。大学病院の助産師として、高度な医療や不妊治療に携わった経験から「妊娠と出産は奇跡。簡単で当たり前のことではない」と言い、「今の苦労はプラスになる」と話します。

3人の娘のママでもある佐久間さん。「子育て期間はあっという間。楽しんで」

 地域の助産師は、健診の時のほか、子育て支援センターなどでも顔を合わせることができます。佐久間さんは助産師の有志でつくるグループで学校に出向き、性教育にも取り組んでいます。「地域の中で子育ての支援者として寄り添っていきたい」と笑顔で語りました。


◇「にいがた、びより」の連載「こそだてエール」では、県内の子育ての先輩や育児真っ最中のパパ、ママを紹介していきます。仕事も子育てもがんばる皆さんに、またこれからパパ、ママになる皆さんに温かいエールを届けます。