セーリング男子・富澤慎

闘志胸に 朝も冬も海へ

 おぼつかない足取りでボードに立った少年に、寄り添う父親。少年は何度も失敗した後に帆を立て、初めて風を受けて海を走った。

 「慎(まこと)が小学2年生の時だよ」

 セーリング男子RSX級で東京五輪に内定している富澤慎(36)=トヨタ自動車東日本・柏崎市出身=の父、仁(ひとし)さん(64)は、当時買ったばかりのビデオカメラで写した映像に目を細めた。

 帆には「MAKOTO」の文字。当時は子供用の道具がなく、ウインドサーフィン(WS)の国内大会で優勝経験がある仁さんがセールやマストを切って作り替えた。「最初は嫌々。でも始めたら上達が早く、5年生になると大人顔負けになった」と語る。

 初めてボードに乗った柏...

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