競泳男子バタフライ・水沼尚輝

子どもたちに夢与える 恩師の言葉糧に急成長

 「おまえは子どもたちの夢を壊したんだぞ」

 2016年初頭、ジュニア選手を交え新潟県長岡市のプールで開かれた小さな水泳大会。当時、新潟医福大1年だった水沼尚輝(23)は下山好充監督(49)になぜとがめられているのか、理解できなかった。

 疲労がたまっていたため力を緩め、予選落ちした。だが、専門のバタフライではなく自由形でのレース。ばつの悪さはあったが「子どもの夢...僕が? いったい何のこと」。戸惑いは当然だった。

 下山監督の思いは違った。水沼は100メートルバタフライで日本選手権の参加記録突破に迫っていた。子どもたちの憧れの対象であり、たとえ専門外の種目であっても、手を抜く姿を見せることは許さ...

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