
水俣病熊本県で1956年に公式確認された病気で、その後、新潟県の阿賀野川流域でも集団発生した。毒性の強いメチル水銀を含む工場排水で汚染された魚介類を食べた人やその胎児が水銀中毒を発症し、亡くなった人も多い。症状は感覚障害や運動失調、視野狭窄(きょうさく)など。外見的な異常は現れずとも、手足のしびれや頭痛などに悩まされ続ける人もいる。被害を訴える新潟市などの男女が、国と原因企業の昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に損害賠償などを求めた新潟水俣病第5次訴訟水俣病被害を訴える新潟市などの男女が2013年12月、国と昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に損害賠償などを求め新潟地裁に提訴した訴訟。原告が水俣病かどうかや、九州に続き新潟県でも水俣病が発生したことに対する国の責任の有無が主な争点となっている。の控訴審が12月3日、東京高裁で始まる。原告の症状が水銀暴露によるものかどうかや、長年診断してきた民間医師が策定した「共通診断書」の信用性などが争点だ。原告側は45人全員の救済を求め、新潟水俣病の被害発生・拡大に対する国の責任を引き続き争う。
新潟水俣病第5次訴訟は2013年12月に提訴。原告側はメチル水銀に汚染された阿賀野川の魚を多食し、手足の感覚障害などを発症したとし、共通診断書の所見に基づき水俣病だと主張。被告側は「一律に多食しておらず、症状はほかの疾患の影響だ」などと訴えている。
4月の一審新潟地裁判決では、原告47人中26人を水俣病と認め、...
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